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ほぼ毎週足繁く通っている『午前十時の映画祭』企画のうちの一本。去年観逃してしまったので、今度こそはと言うわけで観てきました。(@TOHOシネマズ梅田)
この作品、去年まではソフトリリースされていなかったのですね。なので僕もこの企画でスクリーンに返り咲くまで存在自体を知らなかったのです。が、英国の映画らしく機知に富み、音楽もロンドンの街並みも何もかもが可愛らしく美しい、愛すべき一編となっておりました。ソフトも無事リリースされて、この作品が人の目に触れる機会も増えたのであろうと思うと嬉しくなってしまいます。観ることができて本当に良かったと思える、とてもあたたかい作品だと思いました。
主要登場人物は三人と少なく、ストーリーとしてもミニマムな仕上がりとなっているのですが、描写がいちいち愛らしくて微笑ましくて上映中ずっと頬に笑みを浮かべながらスクリーンを見つめていました。途中、音楽のみが流れ会話はないまま画面進行するいわばサイレント映画のようなシーンがあるのですが、これも最後のほうできっちりと生きてくるんですね。このあたりは戯曲家としても名高いピーター・シェイファーの脚本に依るものが大きいと思います。ただのコメディ演出と思いきや、ばっちりとストーリーの重要な要素として回収してくるあたりはさすが名作と言われるだけのことはあるな、と思いました。
登場人物もとにかく愛らしいのです。妻ベリンダを演じるミア・ファローの可愛さもさることながら、とりわけ髭面の私立探偵、クリストフォルーのナイスキャラっぷりと愛くるしさはちょっと類を見ないレベルのものだったと思います。おじさんの可愛らしさに身悶えしながら映画を観るのはこれまででもなかなかないことだったと記憶しています。

これはこの映画のサントラのジャケットなのですが、まさにこのジャケットのイメージ通りの映画に仕上がっていたと思います。ロンドンの名所もたくさん映るので、いつかはロンドンへと行って映画に出てきた場所をマカロン片手に巡ってみたりしたいなあ、と思わせてくれる一本となっていたのでした。
(1972・英・93分 監督:キャロル・リード『第三の男』脚本:『アマデウス』 主演:ミア・ファローローズマリーの赤ちゃん』)