素晴らしき哉、人生! -It's a Wonderful Life-


今日も今日とて午前十時の映画祭へ。最近は新作よりも旧作を数多く映画館で観ているような気がします。これまで知ることのなかった人生に刻まれるレベルの名作にたくさん出会えているので本当にありがたい事だと思います。話を戻しましょう。この作品はずっと劇場で観るのを待ち望んでいた一本なので初日に行ってきました。客席は満員で、終わったあと場内にとても幸せそうな空気が漂っていたのが印象的でした。(@TOHOシネマズなんば)
二年前ほどにDVDで初めて観て以来、僕はことあるごとにこの作品を観てきました。何回も何回も観ているので展開や結末など全て頭に深く刻み込まれているにもかかわらず、改めてスクリーンで観てもやはりその感動は色褪せるどころか重みと深みを増して胸にどっと押し寄せてきたのです。という訳で始終ニヤニヤ顔の涙目という歪んだ顔のままスクリーンを見つめていました。しかし心中はただただ幸せでうれしい気持ちでいっぱいになっていました。
まず登場人物があたたかい。本当にみんな魅力的。主人公のジョージを演じるジェームズ・ステュアートのアメリカの良心とも言える顔つきがほんとうに見てて安心できます。友人のサム(ヒーハー!というおどけた仕草がチャームポイント)、薬屋のガウアーじいさんや叔父などの完全なる脇役すらもこの世界においてはみんな光り輝いています。ですが、やはり何よりもお気に入りなのはジョージの守護天使クラレンスです。

登場するのは終盤も終盤なのですが、その愛らしい見た目と言動で強い強い印象を残します。天界と交信する際にきらきら星の音楽が流れるのですが、これがまた可愛らしいのです。灰色の世界にも色をもたらしてくれるすてきな天使です。彼が初めてスクリーンに姿を表した瞬間から涙が溢れて止まらなくなってしまいました。

この作品、公開当時は興行的にも惨敗で著作権もすぐに切れパブリック・ドメインの作品となったので、アメリカではテレビで放送されまくっていたらしいのですね。そしてそのテレビ放送を観た人々から次第に支持を集めるようになり、今では毎年必ずクリスマスシーズンに放送されるアメリカの国民的映画となっているそうです。このあたりの過程はこれまた僕の愛してやまない一本である『ショーシャンクの空に』と重なる部分があるように思います。この作品を映画館で観ることができて本当に幸せな体験をできたと思います。

(46・米・130分 監督:フランク・キャプラ或る夜の出来事』主演:ジェームズ・ステュアート『めまい』)