大脱走 -The Great Escape-

今年の『第二回午前十時の映画祭 赤の50本』、トップを飾る作品としてジョン・スタージェス監督、スティーブ・マックイーン主演『大脱走』をTOHOシネマズ梅田にて鑑賞してきました。

実話ベースの物語で、あらすじは言ってしまえば「男達が監獄にぶち込まれ、脱走を計画し、脱走し、その後…」といった非常に単純なストーリーと言えるのですが、そこはやはり名画の力量、一筋縄ではいきません。濃いい密度の物語を濃いい顔の男達が約三時間近くみっちり濃い演技で演じきった非常に濃厚な作品だったのですが、やはり気に入った映画にはよくあることで全く飽きることなく最初から最後までしっかりスクリーンを見つめっぱなしで、体感時間も相当短く感じられました。二転三転する物語に翻弄されっぱなしで、気づけば客電が点灯していました。キャラもみんな凄く立っていて、脱走を計画している時や地下にトンネルを掘るときのドキドキ、昂揚感はここ最近味わったことがないぐらいに素晴らしいものでした。それと同時に看守に掘っていたトンネルが見つかってしまったときの焦燥感や失望感も凄かったですね。もう完璧に囚人たちに感情移入しきってずっと観ていました。脱獄モノの割には監獄の陰湿さや悲惨さなどはあまり描かれることなく、けっこうコミカルな要素が多かったことも印象に残っています。緑広がる草原をヒルツ(マックィーン)の駆るバイクが走り抜けていくシーンの爽快さもスクリーンで観てこその映画的快楽が詰まっていました。このパノラマ的光景をスクリーンで初めて観たときの観客の感動はこの上ないものでしたでしょう。現代に生きる僕が観てもとてつもない快楽を味わうことができたのですから。
映画やドラマなどで見たことのある脱獄の手法のルーツなども知ることができて満ち足りた気分です。過去の作品でも観てみるとこういう新しい発見があるから映画を観ることはやめられないですね。

あと、やはり特筆したいのが音楽の素晴らしさ。

この胸の踊るようなマーチ!永遠に残る名調子ですね。おそらくCMや番組のBGMなどで聴いたことがあるはずです。名画の音楽というものは映画音楽の枠を超えて愛されるようにもなるのだなあと実感したりもしました。

という訳で、自分の住んでる地方にフィルムが回ってきたら絶対に鑑賞したほうがいいと断言します!!やはりこの映画祭、名作をスクリーンで観るというのはそれ自身が素晴らしい行為なんだと再確認できる企画なんですほんとに。